北川:「う、う・・・ん・・・。 こ、ここは・・・?」

 北川は目覚めると、自分の部屋『熱き思いの終着点・・・』に寝かされていた。

 腕は何故か治っている。

北川:「・・・俺は、たしか・・・」

 北川は何があったのか思い出して、ブルリと1つ震えた。

 空いていた穴を見ると、ジャムと書いた張り紙が張り付けてあった。

 音を聞く限り、横の部屋『春の丘の溶けることのない雪』では、

 相も変わらず大食い大会・・・改め三時のおやつを食べ続けている。

北川:「・・・あの言葉は一生封印しておこう」

 北川はあのジャムの何とも言えない味と感触を思い出し、また1つ身震いをした。

北川:「この感触を忘れるためにも・・・温泉でも入ってくるか・・・」

 そう言って、北川は身支度を済ませ、とぼとぼと温泉へと向かった・・・

 

 一方、チームさゆりん&チームかおりん合同部屋『魔界と天界の狭間』では・・・

舞:「・・・一番」

佐祐理:「あはは〜、二番です〜」

香里:「ああ〜っ!! もうちょっとだったのに〜・・・はい、三番よ」

栞:「えう〜、またビリですぅ〜。 なんでお姉ちゃん達はそんなに強いんですかっ!?」

 4人で仲良くババ抜きの最中だった。

香里:「そんなこと言われてもねぇ・・・」

 香里が栞の質問に困っていると舞が口を開いた。

舞:「・・・それは胸が大きい順番だから」

佐祐理:「ほぇ〜、そうだったんだ〜」

香里:「そう言えばそうね・・・川澄先輩が89、倉田先輩が84、あたしが83で、しおりが7・・・」

栞:「えう〜っ!! そ、そんなこと言うお姉ちゃんなんて大っ嫌いですぅ〜っ!!」

 栞は泣きながら香里の頭をぽかぽか叩く。

佐祐理:「まあまあ、栞さん。 あっ、そう言えばここ、お風呂がすっごく大きいみたいなんですよ〜。

    それに胸が大きくなる効果があるらしいんですよ〜。 今から行きませんか?」

香里:「あ、いいですね。 行きまし・・・」

栞:「さ、行きましょうかっ!!」

 香里が全てを言い終わる前に栞は準備を終え、扉の前で立ち止まっていた。

香里:「はぁ・・・まぁ、いいわ。 行きましょうか」

舞:「はちみつくまさん」

 こうして香里達も温泉へと向かって歩き出した。

 

北川:「ぷっは〜、いいお湯だ〜。 嫌な事なんて全部すっ飛んじゃうな〜」

 温泉に入っていた北川はゆったりと1%の旅の疲れと、99%の謎ジャムの疲れを癒していた。

 運良く他には誰の姿もなく、のびのびと露天風呂で冷たい風と暖かいお湯を楽しんでいる。

北川:「はぁ〜、良い景色にいいお湯、これで美坂が横にいてくれれば最高なんだけどな〜」

 その言葉を言った瞬間、北川の頭に何かが落下してきた。

北川:「いって〜・・・なんだ? これ・・・」

 北川は当たった何かを拾い上げてみると、それは瓶だった。

北川:「・・・? 今日の天気予報は晴れ時々瓶?」

香里:「な〜に言ってんのよっ!!」

北川:「その声は・・・美坂っ!? ・・・くっ、ここからじゃ見えんぞっ!!」

 この温泉は一階が男性、二階が女性となっている。

 しかも、温度が低いせいで温泉の湯煙がひどく、辺りがほとんど見えないほどなのである。

香里:「見なくていいわよっ!!」

秋子:「あらあら、こんなおばさんの裸を見ても嬉しくないですよねぇ」

香里:「あっ、秋子さんっ、何を言ってるんですかっ!!」

秋子:「ふふ、冗談です」

真琴:「あう〜、おっきなお風呂〜」

香里:「あら、真琴ちゃんに名雪、天野さんまで」

名雪:「香里〜、お風呂だよ〜」

香里:「言われなくても分かってるわよ・・・もしかして、まだ寝てるの?」

名雪:「わっ、ひどいよ〜。 いくら私でも立ったまま寝るなんて出来ないよ〜」

 いつもは眠ったままで朝食も食べてますが・・・

香里:「自覚ないのね・・・」

名雪:「ん? 何か言った?」

香里:「何でもないわよ」

 上では華やかな会話が続いていたが、秋子さんの声を聞いた瞬間、北川の脳裏には先ほどの嫌な光景がありありとよみがえっていた。

北川:「・・・見たら・・・死ぬ・・・再び・・・でも・・・」

美汐:「・・・再び死ぬ・・・死んでしまったら終わりなのではないのでしょうか・・・?」

 美汐の冷静なツッコミも北川には届かず、北川は真面目にぶつぶつと思案していた。

北川:(・・・まてよ・・・気付かれなきけりゃあ別にどうって事はないんだよな・・・

   そうだっ、気付かれなきゃ別に良いじゃないかっ!!)

 ※気付かれなくても犯罪は犯罪です。

北川:「よっし、行くぜっ!!」

 そうして北川は意を決して二階へと向かって、柱をよじ登っていった。

 

祐一:「おお〜、見事に誰もいないな〜」

 北川が柱をよじ登っている時、祐一が露天風呂へと入ってきた。

祐一:(あゆはたい焼き20匹を一気に食べた結果、俺達の部屋『奇跡の集まる場所』に横になっている。

   今は観鈴という少女に介抱されてすやすやと眠っているところだ。

   俺もあゆについていると言ったのだが、観鈴の「今の時間のほうが空いてますよ〜」という言葉に負け、ここまで来たのだ)

祐一:「・・・こういうゲームの主人公をしてると、1人で考えることが多くなるような気がするな・・・

   しかも説明口調で・・・まぁ、そんなことはどうでもいいか。 風呂だ風呂だ」

 祐一はひとしきり説明思考を終えると(誰に対しての説明かは不明だが)ゆっくりと温泉に浸かった。

 この間にも北川は、黙々と柱を昇り続けている。

北川:「美坂のためなら〜、えんやこ〜らっとぅ」

 120%香里のためにはなってませんが・・・北川は何とか二階の女子風呂のガラス張りの壁の外にたどり着いた。

北川:「くっ、湯煙と水滴で窓が曇って中が見えん!! さて、どうするか・・・」

 内側には女性のシルエットと思われるものがちらちら見えるだけに、北川の思考回路はすでに

 目の前のガラスをどうするかだけに集中していた。

 なので、北川はその間に忍び寄る魔の・・・いや、悪いのは北川なので、正義の鉄槌には気付いていなかった。

香里:「準備はいい・・・?」

 拳にカイザーナックルをはめ、皆を促した。

 今、香里達がいるのは二階の女子風呂から、一階の女子用の露天風呂へと降りる階段、

 ここからならば北川のいる屋根まで飛び移ることが可能だ。

舞:「・・・はちみつくまさん」

秋子:「あらあら、皆さんやる気いっぱいね」

真琴:「この頃出番少ないのはあいつのせいっ!!」

美汐:「永遠なる眠りを与えて差し上げましょう・・・」

名雪:「ここの雪、冷たいのにね〜」

佐祐理:「あはは〜、全女性の敵ですね〜」

栞:「えう〜、皆さん、何処からそんな物だしてるんですかぁ〜」

 それぞれ獲物・・・

 舞は魔物退治のときの剣

 秋子さんは謎ジャム

 真琴は鉄の爪×2

 美汐は刀身の中央にややへこみが見られるグラディウスと呼ばれる短剣

 名雪は光化学兵器けろぴ〜13号(秋子さん作)

 秋子さん曰く・・・「口から出るレーザーに当たれば山でも吹き飛ばせますよ」だそうです・・・

 佐祐理さんはどこかの魔法少女が持っていそうな杖・・・魔法使えなきゃ持っててもしょうがない気もする・・・

 まぁ、佐祐理さんですから・・・いざとなればなんでも出来るだろう。

 唯一、栞だけは何も持っていない・・・が、この様々な武器は栞のポケット

 (今は全員水着姿なので水着の前についているポケット)から出てきた物だ。

 ・・・栞が着てる服のポケットは四次元になる性質でもあるのだろうか・・・

 まぁ、他にもいろいろと入ってるのだろう。

 皆、準備は万端というところだ。

北川:「よしっ、俺のこの熱い拳で・・・」

 そろそろ北川は強行手段にでる決意をしたようだ。

 さっき自分で見つからなきゃ大丈夫などと言っていたのに、すでに目先の利益に目がくらんで後先を考えられなくなってしまっている。

香里:「北川くんっ!! そこまでよっ!!」

 そんな北川を見て、香里はついに飛び出した。

北川:「美坂っ!? そんな大胆な・・・ってあれ?」

香里:「残念でした。 ちゃんと水着を着てるのよっ!!」

北川:「いや・・・それでもありがたいことには変わりない・・・黒のビキ・・・うごはぁっ!!」

 北川の言葉に香里の動きは光を越えた。

 香里は一瞬で北川の懐に入るとナックルをつけている右手で強引に北川の顎にアッパーを喰らわせた。

 北川に2468のダメージ!!

香里:「殺れーっ!!」

 香里の号令によって先ず舞が飛び上がり、まだ仰向けに浮いている北川の腹に退魔の剣を叩き付ける。

舞:「・・・峰打ち」

北川:「ぐぼはぁっ!! ・・・そ、その剣、両刃じゃねーかっ!!」

舞:「・・・しまった」

 北川は豪快に腹部から血を吐き出しながら屋根へと落下していく。

 北川に3954のダメージ!!

 北川が落下していく先には美汐が短剣を構え立ちつくしている。

美汐:「安らかなる眠りを・・・」

 美汐はそう呟くと、持っていた2本の短剣のうち、一方を空へと投げはなった。

 その短剣は見事に北川の背中に命中。 その反動で、北川の体はもう一度空へと昇る形になる。

 美汐はその一瞬に空中の北川のいる場所まで飛び、背中の短剣を掴み、北川をうつ伏せの格好にし、

 まるで踊るかのごとくその全身を切り刻む。

 北川に153,128,207,104,119,176,141・・・のダメージ!!

美汐:「いきますよっ、真琴っ!!」

真琴:「おっけ〜」

 真琴は手に装着した鉄の爪を擦り合わせながら獲物を待ちかまえている。

 そこへ、美汐からの蹴りによって舞い落ちてくる北川が降ってくる。

真琴:「た〜っ!!」

 気合い一千、真琴の両の爪が北川の顔を引き裂く。

北川:「ぐおぁっ!!」

 北川に869、897のダメージ

 真琴の下から振り上げられた爪によって、北川は再度上空へ

佐祐理:「あはは〜、佐祐理の番ですね〜」

 佐祐理さんは両手で杖を横にし、なにやら詠唱を始める。

 その間に北川は重力に従い落ちてくる。

佐祐理:「いきますよ〜。 エクスプロージョンっ!!」

 佐祐理さんがそう言い放ったとたん、空中から巨大な火の玉(ゆうに人6〜8人分の大きさ)が現れ

 空中の北川を包み込む。

 それと同時に栞もブツブツと何かを詠唱しだした。

 その間にも火の玉は大きくふくれあがり、ついには大爆発を起こした。

北川:「ふごろぺぁっ!!」

 北川に1485,1563,1124,1368,1597,1423,1523,1468・・・のダメージ!!

 暖かく熱せられた空気は上昇気流を生み出し、またまた再び北川は空の旅へ

栞:「出来ましたっ!! ディープフリーズっ!!」

 栞が高らかにそう叫ぶと、北川の周りに氷の壁が出来上がる。

 北川に864,759,1085,954,786,691,735,905のダメージ!!

 氷に包まれたまま落ちてくる北川に、名雪はけろぴ〜の標準を合わせている。

名雪:「方向・・・おっけ〜。 高さ・・・おっけ〜。 距離・・・おっけ〜。

   うん、大丈夫だよ。 けろぴ〜、荷電粒子砲発射だよ〜」

けろぴ〜:「りょ〜かい〜」

 気の抜けた合図と返事により、けろぴ〜の口から荷電粒子砲が発射される。

 氷に包まれた北川に避ける手だてはなく、直撃。

 しかし、栞の氷のおかげで北川は消滅することなく氷が割れ落ちてくる。

 しかし、普通にダメージはあるようだ。

 北川に8764のダメージ!!

けろぴ〜:「まむ、もくひょ〜はまだ、せ〜ぞんよて〜だよ〜」
   , ,      , ,
 生存予定ってなんだ予定って!!

名雪:「ん〜、惜しかったね〜。 でも、まだお母さんが残ってるから」

けろぴ〜:「・・・にんむ、こんぷり〜とだよ〜」

 けろぴ〜はそう言うといつものぬいぐるみモードに戻った。

 北川は打撲、切り傷、火傷、凍傷などなど、いろいろと傷を負いながら元の屋根へと降ってきた。

秋子:「それじゃあ、最後はびしっと締めましょうか」

 秋子さんは手に持っている瓶を開け、中から包丁を取りだし(秋子さんですから・・・何が出来ても不思議じゃないです・・・)

 北川の落下点へとてこてこと歩いていく。

 すでに北川は気を失っていて何も分かっていないが・・・

 秋子さんの目の前に北川が降ってきたとたん、一瞬何かが煌めいた。

 北川に4444,4444,4444,4444,4444,4444・・・のダメージ・・・

 後に残ったのは、北川の切り刻まれた体と秋子さんの微笑みだった。

北川:「う・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・・・」

 GUTっ!!

 北川のHP1

 計92コンボ!!(香里1、舞1,美汐20、真琴2,佐祐理15、栞8,名雪1、秋子44)

秋子:「はい、仕上げです」

 秋子さんはそう言って、北川の口に例のジャムを流し込んだ。

北川:「ぐおおおおおぉぉぉぉぉぉおぉおおおおおぉぉおぉぉっ!!!!!!

 北川に9999のダメージ!!

 北川は倒れた。

香里:「これで任務終了ね」

 香里は栞のポケットにそれぞれの武器を入れながら言った。

 後ろで栞が「そんな物入れないでくださいぃ〜」とかなんとか言っているが気にしない。

秋子:「それでは、お風呂でゆっくりしましょうか」

 その言葉で皆、風呂場へと戻っていく。

 

祐一:「なんだか上が五月蝿かったな・・・まぁ、俺には関係ないか」

 祐一はそう呟いて風呂場から出ていく。

 

香里:「あっ、そうだ。 北川くん、下に返しとかないと・・・」

 香里は北川を引きずり、屋根の縁まで連れて行く。

 そしてそのまま下の露天風呂に放り込んだ。

香里:「・・・ったく、あたしだけなら別に・・・ってあたしったら何言ってるんだろっ!!」

名雪:「か〜お〜り〜、温泉気持ちいいよ〜」

香里:「はいはい、今行くわよ」

 そうして香里はその場を去った。

 

 祐一が出ていった後、すぐに北川が落ちてきた。

 落ちた拍子に岩に頭をぶつけ本当に死んでしまいそうだが・・・

 まぁ、次の回には生き返っているだろう。

 がんばれ、北川!! 負けるな、北川!!

 だが、ここでお前の主役は終わりだぞっ!!

 

 

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