次の朝・・・

 「あさ〜、朝だよ〜。 朝ご飯食べて〜、学校行くよ〜♪」

 いつもの目覚ましの音が祐一の耳に届く。

 今日の音はいつも以上に眠たいオーラを醸し出しているようだ。

祐一:「うう・・・ん・・・五月蝿い・・・」

 祐一は目覚ましがあることなど確認せずにいつもそれが置いてある場所をおもいっきり叩いた。

 実際、手が当たったのは空中で、しかも叩いたのはあゆだったのだが、寝ぼけている祐一にはそんなことは関係ない。

あゆ:「「ふぐっ!?」

 あゆは祐一に押さえ込まれ、何事か発しながら地面に落ちた。

あゆ:「うぐぅ〜、祐一くん、痛いよ〜」

 頭を押さえられ、地面に張り付いたままのあゆは抗議の声を口にする。 

祐一:「・・・目覚ましにあゆの声なんて入ってたか・・・?」

あゆ:「入ってないよ〜っ!! それにボク、目覚ましじゃないよ〜っ!!」

祐一:「・・・よく喋る目覚ましだな・・・でも、あゆの声なのはいい感じだ・・・」

 祐一は目覚まし(あゆの頭)を撫でながらそう呟く。

 それを聞いたあゆは真っ赤になりながら祐一に近づいていった。

 頭は握られたままだ。

あゆ:「祐一くん・・・」

 あゆと祐一の距離が狭まる。

真琴:「あゆ〜、祐一〜、おはよ〜〜〜っ!!」

 部屋の外から真琴の元気な声が聞こえる。

 その声に祐一は顔を上げた。

 祐一とあゆの距離は一瞬にして0となる。

あゆ:「うぐっ!?」

祐一:「のあっ!?」

 2人はお互いに額を打ち付け呻く。

祐一:「いてて・・・なんであゆが目の前にいるんだ・・・?」

 すっかり目の冴えた祐一はあゆに訊ねる。

 あゆは額を押さえるのをやめ、祐一に向き直る。

あゆ:「話せば長くなるんだけど・・・」

祐一:「時間はいくらでもあるぞ」

あゆ:「・・・すっごく複雑なんだよ」

祐一:「大丈夫だ」

あゆ:「実は・・・」

祐一:「ふむ」

あゆ:「祐一くんが起こしても起きてくれなかったから・・・キス・・・しようと思って・・・」

 あゆは今にも消え入りそうな声で事情を話した。

 話し終えると、あゆは真っ赤になって俯いてしまった。

 そんなあゆを見て祐一は優しげな笑みを浮かべた。

祐一:「ふ〜ん、あゆは俺の唇を奪おうとしたんだな〜」

あゆ:「ち、ちがっ・・・」

 あゆが顔を上げた瞬間、祐一とあゆの距離は再び0となった。

祐一:「さてと・・・そろそろ行かないとみんながうるさいだろうな」

 祐一は真っ赤になりながら立ち上がる。

 あゆも再び俯いてしまった。

 顔は先ほどよりもさらに赤い。

祐一:「あゆ、先に行っててくれ、着替えてからすぐ行くから」

あゆ:「・・・」

祐一:「あゆ〜、聞こえてるか〜」

 祐一は放心状態のあゆの目の前で手をひらひらさせる。

あゆ:「・・・う、うぐっ!? わ、わかったよっ、じゃ、じゃあ先に行ってるねっ」

 祐一の手に気が付いたあゆは焦りながらも部屋を出ていった。

 部屋の外では真琴がまだ眠っている名雪を引き連れて待っていようだ。

 3人の話し声がだんだんと遠ざかっていく。

祐一:「ふぅ・・・2人だけの旅行のはずだったんだけど・・・結局こうなっちまうんだな・・・

   まぁ・・・これはこれでいいのかもな・・・」

 私服に着替えながら祐一は1人呟いた。

 着替えを済ませ、祐一は部屋を出た。
     . . .
 そして、みんなの待っている食堂へと駆けだしていくのであった。

 

 

 

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