食堂は一階の奥まったところにあった。
その大きな食堂は舞台やカラオケ、
祐一達が食堂に到着すると、秋子さん達はすでに席に着いていた。
名雪に至っては待ちくたびれて寝てしまっている。
いつもの風景だ。
秋子さん:「あら、祐一さん。 お久しぶりです」
秋子さんが微笑みながら祐一に話しかける。
祐一もそれに対応する。
祐一:「お久しぶりです、秋子さん。 おっ、今日の晩ご飯はカレーですか」
祐一は席に座る。
あゆもそれに倣って祐一の隣の席に腰を降ろす。
あゆ:「うぐぅ・・・お腹減ったよ・・・」
真琴:「あぅ〜、私も・・・」
あゆと真琴はお腹を押さえながら目の前に置かれているカレーの入った器を眺めている。
秋子:「では、皆さん揃ったようですし、頂きましょうか」
皆:「頂だきま〜す♪」
そう言って全員食事を開始する。
いつものメンバー・・・いつもの水瀬家・・・
祐一:「・・・って違うだろーっ!!」
祐一は突然叫びながら椅子から立ち上がる。
その拍子に隣に座っていたあゆと名雪に肘打ちを入れてしまう。
隣で『うぐぅ』とか『うにゅ』とか聞こえてくるが気にしない。
祐一:「ど、どうして秋子さんや佐祐理さん達がここにいるんですかっ!?」
今、この食堂には Kanon勢11人+1匹 + AIR勢7人+1匹 が勢揃いしている。
まぁ、斉藤や久瀬、美凪の母などのCG無い組と、昔の神奈や裏葉組などはいないが。
ぴろとポテトは2匹仲良くミルクを飲んでいた。
ぴろはずっと真琴の鞄に入れられたまま忘れられていたので元気はなく疲れ切っている。
ところで席順はというと
秋子 名雪 祐一 あゆ 真琴 美汐 美凪 みちる 佳乃
その向かいがわにそれぞれ
舞 佐祐理 栞 香里 北川 観鈴 往人 晴子 聖
となっている。
祐一の叫びに、佐祐理さんは顔を上げ、神妙な面もちで話し出す。
佐祐理:「佐祐理達・・・実は・・・」
室内に静寂が訪れる。
祐一もその雰囲気に飲み込まれ、黙って話を聞く。
佐祐理:「・・・辛いですね〜。 このカレー♪」
舞:「・・・佐祐理、水」
いきなり話を逸らした佐祐理に舞は素直にコップを渡す。
佐祐理は舞からコップを受け取り、一気に飲み干す。
話を逸らした佐祐理に祐一はなおも食い下がる。
祐一:「佐祐理さん、ちゃんと話してくださいっ!!」
その祐一の言葉に、佐祐理が顔を上げた。
佐祐理:「あはは〜〜・・・、佐祐理は〜おっきいですね〜〜・・・」
なにがっ!? とのツッコミはさておき(舞と秋子さん以外の女子は口々に おっきくなるもん などと叫んでいたが)
その顔には・・・満面の笑み・・・と言うより、完全に目が据わっている。
その目も何処か遠くを見つめて、焦点があっていないようだ。
祐一もその顔がいつもの佐祐理さんの笑顔でないことに気付き、小さな声で舞に問いかける。
祐一:「舞・・・佐祐理さん、一体どうしたんだ・・・?」
舞はわからないという風なジェスチャーを返す。
その時、秋子さんが佐祐理さんの飲んだコップを見てあらあらと呟いた。
秋子:「祐一さん、これなんですけど・・・」
秋子さんはそのコップを祐一に渡す。
祐一:「何ですか? ・・・ってこれは・・・!」
北川:「倉田先輩の口紅の跡ーっ!!」
香里:「死ねーっ!!」
ドガッ バキィッ グシャァッ メキョッ ・・・
人間の細胞を可能な限り破壊するとこのような姿になるのかもしれない。
祐一:「・・・気にしてちゃいけないな・・・」
そんな血溜まりに浮かぶ北川を横目で見ながら祐一は話を戻そうとする。
香里以下、Kanon女子軍は平然と食事を続けていた。
晴子が北川の姿を見て、うははははは、うちの居候みたいなやっちゃな〜 などとのたもうていた。
祐一:「・・・え〜、ごほん・・・こ、これはお酒じゃないですかっ!?」
わざわざ これは から始める辺り、祐一もそろそろこういう事態に慣れ始めてきた証拠のような気がする。
祐一の驚愕の声と同時にKanon女子軍、並びにAIR女子軍からも驚愕の声があがる。
ちょうどテレフォンショッピングの売り手と観客の反応そのままだった。
そして一同を代表して香里が祐一に話しかけた。
香里:「相沢くん、1ついいかしら?」
祐一:「なんだ、香里?」
香里:「さっきから倉田先輩が血溜まりの中の何かに追い打ちをかけているようなんだけど?」
栞:「それを止めようと舞さんも頑張ってますね」
祐一が後ろを見ると、そこでは北川だったものを舞の剣で斬りつけている佐祐理さんの姿があった。
舞が後ろから佐祐理さんを押さえつけようとしていたが、佐祐理さんのほうが力は上のようだ。
いや、むしろ舞は剣を返して欲しいだけで他は別に良いのかもしれないが
とにかく、舞は佐祐理さんを押さえつけることが出来なく、目に少し涙を浮かべて祐一の元へと返ってきた。
舞:「・・・佐祐理・・・かなり強かった・・・」
舞は涙を拭いながらそう呟いた。
祐一:「・・・どうしようか・・・」
佐祐理さんは北川を切り刻みながら辺り一帯をふらふらと漂っている。
頭を抱えていた祐一にほろ酔い(一升瓶3本目)の晴子が近づいてくる。
晴子:「しゃーないな〜、うちが止めたるわ。 あの子が飲んだ酒はうちのんやしな〜」
そう言ってフラフラと佐祐理に近づいていく晴子。
その晴子のシャツを舞の手がぎゅっと掴む。
舞:「・・・危ない・・・」
晴子:「・・・」
舞の制止に晴子の動きが止まる。
舞:「危ないから・・・行っちゃダメ・・・」
晴子はまだ佐祐理のほうを向いたままだ。
往人:「今日のお前の母親、なんだか格好いいな」
観鈴:「にはは、お母さん格好いい♪」
後ろの方からは密かにそういった話し声が聞こえる。
死地に赴く兵士を愛するものが引き留めている、そんな光景にも見えなくはない。
だが実際のところ、晴子は舞の引っ張っているシャツのせいで首を絞められて息が出来ず、今にもあの世に逝ってしまいそうなのである。
そのことに祐一が気付き、舞の手を離させたのはそれから5分後のことだった。
祐一:「だ、大丈夫なんですか・・・?」
祐一の問いかけは疑問形だった。
なぜなら、たしか、人間は4分以上酸素供給がない場合死ぬらしいからだ。
晴子:「は・・・晴子さまを・・・なめたら・・・あかんで・・・」
顔面蒼白、心臓停止間近、その状態で笑っていられるのはさすがだと思う。
そんな晴子に観鈴が近寄ってくる。
観鈴:「お母さん・・・」
晴子:「観鈴・・・」
2人が見つめ合う。
そして突然、観鈴は倒れている晴子の口に・・・酒瓶を突っ込んだ。
祐一:「なっ!? ・・・」
晴子:「晴子さま、ふっかーーーーつっ!!」
今まで北川の回復力を見てきたKanon軍もこの回復の早さには驚きを隠せなかった。
だが、もちろんこんなことでは佐祐理さんの暴走を止めることは出来ず、事態は振り出しに戻っただけだ。
佐祐理さんは北川を斬ることに飽きたのか、きょろきょろと辺りを見回すと舞台の方へと走り出した。
美汐:「あ、倉田先輩が逃げます!」
美汐が指さしたさきには、舞台上でマイクを持ってたたずんでいる佐祐理さんがいた。
そしてマイクで拡張された佐祐理さんの声が部屋中に響き渡る。
佐祐理:「いちばん〜〜。くらたさゆりです〜〜〜。 ぬぎま〜〜〜す♪」
佐祐理さんはそう言って浴衣の帯に手を伸ばす。
祐一&往人&北川:「おおっ!!」
佐祐理さんのその言葉に、KanonAIR軍の男子が一斉にそちらを見た。
北川の傷は全て塞がっていた。
だが一瞬にして先ほど以上の傷が増えた。
KanonAIR女子軍が一斉にその男子達を叩き伏せたのだ。
こうしてにぎやかな晩餐は男子軍が気絶(死亡?)したあと、服に手を掛けた佐祐理をなんとか静め終わりを迎えた。
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